組織論から考えるハラスメント対策
カテゴリ: ブログ
作成日:2022年03月01日(火)
人それぞれが「人間観」を持っているように
組織にも人間観・組織観があると思います
ハラスメント対策の
そこが根幹になるのではないでしょうか
ちょっと古めの本ですが
菊澤研宗著『組織は合理的に失敗する』は
太平洋戦争における日本陸軍の
不条理な行動を分析することにより
現代における組織課題を抽出している
学ぶことが多かった一冊です
【完全合理性】と【限定合理性】が
基調テーマとなっています
さてあなたは
人間は<合理的な存在>であると思いますか
私は、人間は合理的存在であること目ざし
ときに不合理に陥る
これが<失敗>ということだと思っていました
しかしこの本では
人間は元来【限定合理的】な存在であるとし
いわゆる制限・限定のある中で
意図的に合理的にしか行動できない
という構図が述べられています
日本軍が勝ち目のない
無謀に思える戦いに挑んだのは
不合理な組織であったからではなく
元々の限定合理性の中で
合理性を追求した結果であるというのが
ざっくりとした内容です
たとえばインパール作戦において
作戦を中止する方があまりにコストが高かった
後戻りするよりは
勝利の確立がゼロでない限り
突き進む方が良いという
逆に合理的判断がなされたというわけです
ハラスメントに焦点をあわすと
個々人または組織という人間集団を
【完全合理性】として見ている中では
不条理なハラスメントは発生しやすいと考えます
そこでは<誤り>はあってはならないことと認めがたく
よって開かれた議論も展開しがたくなります
私たちの情報収集や処理能力・伝達能力には限界があり
あくまで完璧完全ではない情報の中で
なんとか合理的に判断行動しているのだ
という【限定合理性】を受け入れるならば
<ミス>や<非効率>は
誰であってもどんなチームの元にも
常に発生しうるものであり
<不条理>をいかに乗り越えていくかを
相互扶助の元に進めていけるのはないかと思います
「完璧をめざせ」「ミスは許されない」
それが唯一正しいことであるという組織であるよりは
私たちの【限定合理性】という
ある種の至らなさを認め合って
より良き修正を試み続けようというスタンスが
組織ハラスメント防止には
なによりも根幹であると思われます