『笑いに師匠あり』 – ソーシャルスキル・プログラム
2017/06/18
コラム

『笑いに師匠あり』

お昼時、鮨屋さんに飛び込むと、

おばあちゃんが座敷のへりに

腰かけていらっしゃいます。

 

お耳が遠いらしく、

私の来店に気づくには少し手間取られました。

 

御歳94歳、かつ江さん。

関東大震災の年にお生まれになったそうです。

 

お肉とケーキがお好きだそうで、

いっこうに食欲が減らない。

お医者さんに「私はいつ死にますか?」と

何度尋ねても、このままじゃあムリですなあと言われるとか。

 

仕事柄お化粧はしないできたんですよ。

生もの触るからねえ。匂いは出したくない。

素っぴんの上に、今では皺はたくさんできました。

でもほらこうして引っ張るとたちまち若いのね。

ほら見える?

 

確かに頬を耳にかけて持ち上げられると、

肌艶のよいお顔が若さで光ってらっしゃいます。

 

私は自分の叔母を思い出していました。

 

叔母は阪神大震災の影響でひととき、

質のよくない施設にいたことがあって、

数人椅子に並べられ、いっせいにシャワーをかけられるお風呂を、

まるで魚屋の店頭のサンマかサバですな、

といかにも楽しそうに笑っていました。

 

ユーモアは、

なんとも私たちの財産ですね。

ときに怒り嘆くことも大切ですが、

自分やこの身に起きた出来事に、

可笑し味を見出す才覚。

大きな宝だなあと思います。

 

叔母の才覚には

追いつけないかもしれませんが、

叔母からは、

何十分の一か財産分与をしてもらった、

そんな気持ちでいます。

 

さて時間のベクトルは進みます。

どんな可笑し味を

私は私にプレゼントできるでしょうか。

 

笑い芸を磨かなくては。

精進、精進。